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トップページ > エンターテイメント > コラム【同世代】 >(R)50 インタビュー シャンソン歌手・若林ケン流「無茶な生き方」のススメ(1/2)

シャンソン歌手・若林ケン流

「無茶な生き方」のススメ (1/2)

「侘(わび)」「寂(さび)」「粋(いき)」「鯔背(いなせ)」――フランスが生んだ心の歌“シャンンソン”という音楽でそれらを表現し、歌い聴かせてくれる、若林ケンさん、61歳。あの「川の流れのように」の作詞も手がけた有名作詞家、秋元康さんは自身のエッセイのなかで、シャンソンブームの到来を予言しています。「最近、聴きたいと思う曲がない」「心に響く音楽に出合えない」と感じている方、魂を揺さぶる若林さんの歌声を是非!

若林ケンさん

1970年代後半から銀座のシャンソン・カフェ「銀巴里」に通い始め、シャンソンを唄い始める。29歳のとき、新宿歌舞伎町に、自らもステージに立つシャンソン酒場「ペイトンプレイス」を開店。ホテルでのディナーショー、リサイタルを数多く開く。一方、人形師・辻村寿三郎と共に人形舞とシャンソンなど、異色のコラボレーションも展開。また、劇作家・つかこうへい氏の作品に15年間出演し、俳優としても活動する。昨年2005年には還暦デビューを果たし、初のコンサートツアー「CHANSON THEATER 2005」を開催。延べ1万人というシャンソン歌手のソロ公演としては驚異的な動員数を記録し、大きな話題になる。


「59.9歳の自分」では青臭くて歌えなかった

――昨年、シャンソン歌手として「還暦デビュー」を果たされた若林さんですが、以前から、ご自身がマスターをつとめるお店で歌っていたんですね。感動して泣いてしまうお客様もいるそうですが…。

ええ。嬉しいことに、「このお店で、あなたの歌を聴いて、シャンソンが好きになった」と言ってくださる方も多いんです。ライブでも、客席で泣いている方の姿をよく見ます。「悲しみの中からしか、喜びは生まれない」ですから、ライブで感情がこみ上げてきたら泣いてほしい。泣いたあとは、周囲が美しく見えるし、すっきりした爽快感が味わえると思うので。

――若林さんの曲を聴くために、九州や東北など地方からわざわざお店に足を運ぶ方も多いとか…。「車のラジオから流れてきた若林さんの曲を聴いて、涙が止まらなくなり、路肩に車を止めて泣いた」という運転手さんまでいらしたそうですね。

ありがたいことです。ただ、地方の方が東京まで足を運ぶとなると、ホテル代や交通費が結構かかりますよね。それが今まで心苦しかったので、全国ツアーができるようになって、地方の方のもとに、こちらから駆けつけられるようになったのが嬉しいです。

――このサイトはSTAGE世代向けのコミュニティで、「50歳未満お断り」なのですが、若林さんは60歳になったら歌おうと決めていた曲があったそうですね。「60歳未満」では歌えなかったのですか?

還暦を迎え、ようやく人生の曲が歌えるようになりました。59.9歳の自分では、まだ青臭くて歌えなかったので(笑)。そんな人生の曲も含め、新しいアルバムでは“節目節目”を歌った、厳選5曲を発表します。
たとえば、若い頃、シャンソンとは知らずに聞いていたシャルル・アズナブールの「イザベル」という曲。大好きなんです。辻村寿三郎さんとのコラボレーションで関わった人形劇「近松心中物語」の主題歌「それは恋」や、つかこうへいさんの舞台でずっと歌っていた、井上陽水さん作詞作曲の「なぜか上海」なども入ります。


若林ケンさん

――シャンソン・ビギナーでも楽しめそうですね! 若林さんはいつからシャンソンを歌うようになったのですか?

30代半ばの頃、銀座のシャンソン・カフェ「銀巴里」で、シャルル・アズナブールの「私は一人片隅で」という曲を聴いてからですね。初めて聴いたとき、涙が止まらなくなりました。こうしたシャンソンの叙情・哀愁は、それくらいの年齢でようやく感じ取れるのかもしれません。カフェテラスで一緒にお茶を飲んでいるのに、彼は向こうに座っている女性に気を取られてそわそわしている。目の前で彼の心は離れていき、恋が終わっていく――。そんな歌詞なのですが、昔、自分が泣かせてしまった女性のことが思い起こされて、ああ、ひどいことをしたなと…。

当時、女性はこうした気持ちだったのかと全身で感じたんです。それは初めての経験で、こういった曲を自分も歌っていきたいと強く思いました。それから、このジャンルの曲を全部覚えてやろうと思って、「銀巴里」に通い続けたんです。シャンソンというのは、ダイレクトですね。そのときどきの温度や湿度、聴いてくれるお客様によって、曲の色合いが変わってきます。浮かんでくる情景もさまざまです。

――情景というのは、お客様それぞれの中でも思い浮かぶのでしょうね。

ほかの音楽もそうかもしれませんが、シャンソンって、ひとつでも自分の人生に重ねられる部分があると、すっと全身に染みわたる音楽だと思うんです。行ったことのない場所や、体験したことはないことも、似たような体験が折り重なって、自分のことのように聴こえてくる。だから感動がずっと大きい。まず自分が感動し、お客様にも同じように感じてもらいたいと思っています。

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