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いい年をして親離れも子離れもできず、過去を引きずりながら生きる伸男(原田芳雄)とその息子・民男(オダギリジョー)。そんな2人が、ひと癖もふた癖もある周囲の人々に翻弄されながらも、「結婚」という一大イベントの成就に向けて奮闘する映画『たみおのしあわせ』。7月19日(土)の公開を前に、監督の岩松了さんと主演の原田芳雄さんに、情けなくもユーモラスな「父と息子の関係」について聞きました。
![]() ──原田芳雄さん演じる父・伸男は、非常にユニークな父親だと思うんですが、キャラクターを設定するにあたって、どのようなことを参考にされましたか? 演出あるいは演技をなさる際に、工夫したり心掛けられたことは?
岩松 個人のキャラクターをいかに創造したかというよりは、組み合わせで考えてると思うんですよね、どちらかっていうと。「こういう父親とこういう息子」っていう風にね。その2人がいることが面白いっていう発想だから、前もってお父さんのキャラクターを考えたということはないですね。 ──2人の関係がどうあったら面白いと? 岩松 逃れられない関係というのが2人の間にあって、それは最終的に家族であり、お互いに強いこだわりがあると思うんです。そういうところで、だんだん世間からはぐれていく関係になれば面白いなと思いますね。しかも、表向きには2人はしあわせを目指してるんだけど、「どう考えたって、それははぐれてるだろう」ってことを考えると、必然的に「こういう息子とこういう父親」になった気がします。 ──あの中で、伸男がかつてつき合った女性とか、今つき合ってる女の人というのは、女の目から見ても非常に怖い人たちだなと思うんですが(笑)。 岩松 それは、石田えりさん演じる宗像さん(伸男が昔つき合っていた女性で、民男の結婚式にふらっと現れる)がとどめを刺してますね(笑)。 ──原田さんは、どんな感じでこの父親を演じられましたか? 原田 この父親と息子も、「君と僕」だけの関係じゃないわけで。息子は息子で、それまでの人生があるわけだし、伸男も、かつては結婚していたりとか、いろんな関係があって。それを見て、たみおは育っている。 ──世間からどんどんはぐれていくこの親子が、何となくしあわせそうにも見えるんですが? 岩松 (伸男の愛人で、怖い女の人の役を演じた)大竹しのぶさんが、「男の親子っていいなぁと思った」って言うから、怖い女の人の立場から見ても、そういう風に見えるのかも知れないと思いましたけどね。 ──女の人は怖いですか? 岩松 好きなんですよ、始末に負えないような女の人って。日常生活ではダメですよ、あくまでも作品の上での話ですよ(笑)。 ──『たみおのしあわせ』は、大人の男性にシンパシー感じさせる映画じゃないかと思っていまして、嫁さんが大変なのも、女性関係が大変なのも全部分かってて、最後に逃げちゃうという、そこに、ある種のカタルシスというか、中年の男性は溜飲を下げるところがあるんじゃないかと思うんですが?
原田 (笑)。例えば、旦那は新橋の立ち飲み屋なんかで飲んでで、奥さんは昼間、カルチャーセンターの「フランス料理のコースの食べ方」かなんかに通っててという構図があると。ユニークですよね、その力関係というのは。で、男連中は思うわけですよ、「ちょっと待てよ」と。 ![]() ──そういう「あらがえない運命みたいなもの」は、受け入れるしかないと? 原田 そういうことは、映画の中ではいっさい言ってなくて。よくわからないんだけど、例えば、誰かが死ぬという確実に起こるふしあわせに対して、人は、どこかで相対化して笑っちゃうしかないということが世の中にはあるわけで、究極のものすごい不幸だとかは、コメディにするしかないんじゃないかと思いますね。 ──よく思うんですが、男の人は本当のことは言わない。でも、女の人は本音を言ってストレスを発散するなり、迷いや悩みをいったんリセットするところがあります。この映画も、そういうところが、ここかしこにあるような気がするんですが。 岩松 言葉を吐くってことは、ある意味、防御での要素も含んでいると思うんです。だから、女の人は防御上手であって、男は防御できないから、いつまでもぐじぐじ言ってるんですよね(笑)。 ──ところで、伸男と民男の関係を映画で表現するに至る過程というのは、岩松さんとオダギリさん、原田さんとの間で、綿密な打ち合わせはあったんでしょうか?
原田 なかったですね。オダギリさんとは、同じ映画に出たことはあったけれど、現場でご一緒したのは初めて。現場でどうこうという打ち合わせもなかったし、むしろそういうのが映画的なんだと思います。 ──岩松さんは、現場ではどんな風に演出なさったんですか? 岩松 一度だけ本読みをやらせてもらって、何となく声の感じだけ聞きましたね。あとは現場で、まさに「出会い頭」のような撮り方をしました(笑)。 ──映画ではいろんな人が伸男にちょっかいを出します。それは主に女性がというなんですが。ご自身が伸男の立場だったら、どう思われますか? 岩松 「いい女だな」とか、ちょっと淡い恋心でも抱いた日には大変ですよね(笑)。 原田 現実の僕自身がどうのというのは、どうでもいい、面倒くせぇやと思っちゃう。ただあの中で、自分の息子が何回もお見合いをして、うまくいかないわけですよね。それが、今度の相手が麻生久美子ですからね。いい女だなぁと(笑)。一応、民男のしあわせを考えながらも、息子の嫁とのただならぬ関係に非常に興味を持っていると。誕生日に、わざわざ呼び出されて、彼女の名前入りのネクタイをプレゼントされた日には、息子に「プレゼントもらったんだよ」と言えない、このオヤジのどうしようもなさってのは(笑)、なんかわかるような気がしますね。 |
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